「農福連携Hack」で目指す本質的な目的とソリューション構築

新年度の活動にあたり

新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に移行し、ようやくコロナ禍も終息が見えてきました。

コロナ禍により、高齢者の皆様との接触が困難となり、活動が実践できない歯痒い時間が長く続きましたが、新年度の活動テーマを定め、活動の準備を始めています。

今年度も“実践者として、やるべきことをやる”という新たな気持ちで、活動を再開します。 新年度の活動テーマは「農福連携Hack

年度の初めに、どのような機能を社会に果たしていくのかを明確にしておきたいと思います。

Hackの意味について

“Hack”という言葉は、一般的には不正アクセスやシステムへの侵入を指すネガティブなイメージがあるかもしれませんが、近年ではポジティブな活用が広がっています。

例えば、ライフハックとは、生活をより効率的かつ効果的にする方法を模索することを指し、ソーシャルハックとは社会的な関係をより円滑にする方法を意味します。

また、クリエイティブハックとは創造性をより引き出す方法を模索することを指し、アイデアを出す方法や、問題解決の方法などが挙げられます。

これらの”Hack”は、問題解決や効率化、創造性を高めるための手段として、ポジティブに活用されています。

私たちは、自らの事業の拡張と農福連携の波及のために、この言葉を選択しました。

農福連携についての解釈と理解

SNSなどで、全国から届く相談や質問の多くは、農福連携を農業における障がい者雇用の取り組みと認識している方がほとんどで、それ以外の取り組みは農福連携ではない、という解釈が多いことに驚かされます。

農福連携の活動が広がることで、農林水産省の定義も変化しているのです。

ユニバーサルな取組として、農業だけでなく様々な産業に分野を広げるとともに、高齢者、生活困窮者、ひきこもりの状態にある者等の就労・社会参画支援、犯罪・ 非行をした者の立ち直り支援等にも対象を広げ、捉え直すことも重要である。

農福連携とはー農林水産省 農村振興 農福連携より

取り組みも、対象者も変わってきていますが、一般的な認識はまだ追いついていないようです。

これでは、新たな農福連携の取り組みが生まれる可能性も低いと言うことです。

農業の機能は、単に農産物の販売にとどまりません。

農作業による効果や作用は、新たな機能としての可能性を秘めています。

限定的な目的や枠組みの中では、多様な背景を持つ当事者やその家族の福祉課題を解決することやそのためのソリューションは生まれない

だからこそ、枠にとらわれずに外側からのアプローチが重要です。

政策や制度に準えれば、社会課題が解決するわけではなく、資格がなければ何もできないわけでもありません。

高い視点から取り組みの本質と目的を明確にし、制度の枠に囚われないこと。

こうした視点で課題解決を目指すことにより、これまで見えなかったことが見えてくるようになります。“農業をどのように活用し、何を解決するのか”、が明確になれば、その方法も数多見えてきます。

「農福連携Hack」のテーマのもとで、これまでの固定観念から抜け出し、新しい視点と斬新な手法で、様々な課題解決に取り組んでみたいと考えています。 「その手があったか!」という新たな角度で、活動してみたいと思います。

 

ひとりでも多くの当事者の苦しみを解放するために

私たちが推進する農福連携のカタチは、「農の医療的・福祉的活用」と表現しています。

当事者とその家族が抱える福祉課題に対し、農が持つ多様な機能や効果を活用し、どのように解決に導くのか、ということ。

そのためには、様々な枠組みを越境することが大切で、これまでにも越境することで解決のヒントを見つけてきました。

土地や場所に縛られることなく、活動エリアを越えること、 産業、業種にこだわらず、事業ドメインを超えて連携すること、 制度や政策の枠を飛び越え、手法にこだわらず目的のための活動を行うこと

手段は目的によって選ばれるものであり、目的のために最善の選択をすること。

制度や政策の限界が、農福連携事業の限界にならないように、また、一部の当事者支援に偏った取り組みにならないようにも、固定化された概念の外側から新たなソリューションを創造したいと考えています。